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トマトが好き
学生時代、ドイツに留学していた。
食材が限られているせいで、毎日似たような味付けの似たような料理を食べさせられた。
美味しければまだしも、ハムやベーコン、スープと、とにかくしょっぱい料理が多いのだ。
自ずと箸は進まなくなり、空腹感を通り越し飢餓感を感じるまでになった時、私はこっそりと市場に出かけトマトを買い、自室に持ち帰って貪るように食べ飢えをしのいだ。
その時食べたトマトの青臭い香りは、故郷のものと変わりはなかった。
トマトは私の命の恩人である。
倉嶋桃子の世界